〜 どん底から『自分』を取り戻す。28kg痩せて彼女を作るまでの全記録 〜
「絶望」という言葉の本当の意味を、僕はあの日、自分の家の玄関で知った。
いつも通りの、深夜の帰宅だった。 仕事で疲れ果てて帰宅し、鍵を差し込み、ドアを開けようとした。 ――カチャ。
数センチ開いたところで、金属がぶつかる硬い音が響く。内側からドアロックがかかっていた。 「あれ? 間違えてかけちゃったのかな」
スマホを取り出して彼女に連絡しようとした、その時だった。 わずかに開いたドアの隙間から、それが見えた。
僕の心臓が、今まで経験したことがないほど激しく、速く、喉元までせり上がるのを感じた。
玄関に脱ぎ捨てられた、見覚えのない男物の、茶色いホーキンスの靴。
何度も見返した。僕の靴じゃない。当然、彼女の靴でもない。 混乱で頭が真っ白になりながら、震える指でチャイムを押した。
ピンポン。ピンポン。ピンポン。
無機質な音が廊下に響く。 ……反応はない。
部屋の中には、誰かがいる。僕の彼女と、あの「ホーキンス」の持ち主が。
その時、僕は確信した。 このドアの向こうには、僕が信じていた幸せなんて、もう1ミリも残っていないのだと。
鏡を見れば、不摂生で膨れ上がった醜い中年男。 自分を律することをやめた成れの果て。
「こんなデブ、誰も愛してくれるはずがない」
あの夜、閉ざされたドアの前で立ち尽くしながら、僕は人生で一番残酷な正解を突きつけられた気がした。
(次回:戻ってきた彼女。しばらくの奇妙な共同生活。そして空気清浄機すら消えた、ガランドウの部屋に。)


コメント